一つのMET。世界のアート。
午前10:00、METの前には長蛇の列ができる。
METことメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)。MoMAと同じく、その頭文字をとってMETと呼ばれ、マンハッタンの美術館・博物館ビッグ3の一角を占める。というよりも、これがマンハッタンで1番。いや、アメリカで1番。
入館料金は約2500円。......高い。
ただし、ここがアメリカの粋なところ。料金の表示のすぐ隣に「推奨価格」と書いてある。即ち、この入館料金2500円はただの推奨価格。METが「だいたいこのくらい払ってね。」と言っているわけだ。
「推奨価格」、「僕の日頃のアメリカへのリスペクト」、「アメリカ抜きではやっていけない緊迫した東アジア情勢」、「この美術館に所蔵されている、かつては日本のものだった大量の美術品」、「今日まで親切にしてくれたアメリカ人たち」
いろんな思いを込めて、僕は合計約500円を払って入館。
さて、館内は広い。
1日では絶対に全て見て回ることができない。
今日はターゲットを
①古代エジプト文明
②日本美術
③19世紀西洋絵画
に絞ることにする。
まずはエジプト。
ファラオの墓。実際に中に入れる。なんとエジプトにあったものを解体して輸送し、この場で再び組み直したらしい。後で知ることになるが、この手法はアメリカの得意技。同じ手法で、いろんな建造物を館内に展示?というよりも、吸収してる。
この広いスペースも、METの一部。奥に見えるのはまた別の建造物。これも、例のアメリカの得意技で館内に再現している。
ここに来るまで、こういう棺桶は世界に数個しかないと思っていた。
実は大量にある。日本の美術館にもシェアして欲しい。
次は日本。
異国の美術館に、佇む武者たち。
中学生の歴史の授業で一生懸命覚えた「書院造り」の一室も、"Shoin Room"として再現されている。
こういった日本の素晴らしき展示物が、METではただのワン・オブ・ゼムとして展示されている。
大国アメリカ、恐ろしや。
最後に、19世紀西洋絵画。
オーギュスト・ルノワール「ピアノを弾く二人の少女」
実は同じ構図のものが、オルセーにもある。
フィンセント・ファン・ゴッホ「自画像」
正直、いろいろとありすぎてどれを見て良いのか分からない。この館内の作品のほんの一部が、日本の美術館などに貸し出され、現地で「特別展」として展示され、多くの客を集める。そしてまたこの美術館に戻り、静かな時を過ごす。
1日で回りきることのできない広さ、推奨価格で設定される入館料、世界が注目する展示物。
なんてとこなんだ......ここは。
アメリカのパワーを感じた1日。