Soul-Searching Travel !!

アメリカ旅行の思い出(2014年9月2日〜11月28日)

You guys wanna go see a dead body?

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初めてモンティを間近で見た時の感想を一言、「なんてたくましい女性なんだ。」

太い足、太い腕、太い首。それでいて全体的には太って見えない。「ガッチリしている。」という表現がいちばん近いだろうか。金色の髪は男性のショートヘアのように短くさっぱりしており、少しぽちゃっとし赤らんだほほに、クリッとした目が二つ。

一度印象がついてしまうともう頭から離れない。これは僕の大好きな映画『Stand By Me』の登場人物の一人、「バーン」だ。非アジア人の顔の微妙な違いが分からない僕は、出会った外国人の顔を、すぐにこうして脳内にストックされている外国人顔面パターンに当てはめてしまう。

 

「さあ、上がって。」

玄関のドアを開けるとすぐに階段。モンティがその太い腕を使って僕のバッグを掴み、階段をのぼっていく。後ろからヨタヨタついていく僕。これまでの緊張が一気にほぐれて、疲れがドッと身体にのしかかる。

階段をのぼりきると、20畳はあろうかという広いリビングルーム。物はきれいに整理され、壁には大きな絵がかかってある。テーブルの上には綺麗なシャンデリア、おまけにもう一方の壁には巨大なラックが設置されており、軽く100は越えるであろう空のビール瓶が、オブジェとして飾られている。

「......あれ?」

おまけがもう一つ。モンティしか住んでいないと聞いていた部屋に、僕と同じくらいの年齢の女の子が二人、椅子に座ってこちらを見ている。片方の女の子が一言、

「おつかれさま。大変だったんでしょ?」

困惑している僕に気がづいたモンティが説明を加える。

「こっちは私の従姉妹で、こっちはその友達。普段は離れたところに住んでるんだけど、明日ハートフォードでミュージシャンのコンサートがあって、それを見に行くっていうから泊めてあげたんだ。」

「はじめまして。私は大学で生物学を勉強しているの。これから大学院に行く予定よ。将来は研究者になるの。」「私は音楽を勉強しているわ。日本から来たんでしょ?私、日本のアニメは大好きよ。」

僕はなんてツイているんだろう。ハートフォードという何の面白みも無いこの街で、何も面白いこと無く過ごすはずだった数日が、二人の女子大学生の存在によって、脳内で一瞬にしてバラ色に変更される。

広い部屋、綺麗な内装、二人の女子大生に「Stand By Me」のバーン。なんだか楽しそうじゃないか!

 

「おっ、そろそろ時間かな。荷物とか、大丈夫?」モンティが二人に声をかける。

「そうね。大丈夫よ。じゃあそろそろ行きましょうか。あなたも、なんでハートフォードなんかに来たのか知らないけど、どうか楽しんでいってね。」

そう言って荷物をもった二人は階段を下り、家を出て行った。玄関まで二人を送りにいったモンティが、再び階段をノソノソとあがってくる。

「ふぅ。おっ、君、身体が濡れてるじゃないか。シャワーでも浴びたらどう?」

20秒前に脳内でつくりあげられたバラ色の情景が、一瞬にして砕け散った。広い部屋、美しい内装、そしてモンティと僕。さっきまでのワクワクはいったい何だったのか。

 

こんなところから、僕とモンティのゆるりとしたハートフォード生活が始まる。