人は見た目が9割
ニューヨークで、僕は人生初のairbnbを利用した。場所はブルックリンのブシュウィック。地図ではマンハッタンからなかなか離れているように見えるが、実際は地下鉄の電車一本、約20分でアクセスできる。ホストの名前はハビエルとヴィッキー。airbnbのサイト上の写真では、30歳手前の夫婦またはカップルのようだ(実際にはカップルだった)。
Google Mapsを利用して問題なく家に着いたのだが、入り方がわからない。ベルも見あたらない。時間は21時30分。電話をかけると、ハビエルが下まで降りてくると言ってくれた。声が太い。そして電話を通しての英語は、なかなか聞き取りづらい。
扉が開く。現れたのは、上半身に筋肉が盛り上がった、見事な逆三角形体型の大きな白人。髪型はモヒカン刈り。雰囲気はワンピースのアーロン。
「やあ。こっち来いよ。」
この野太い一言を聞いた瞬間、僕はこの先ここで泊まることになる数日が、決して居心地の良いものではないだろうということを確信した。
部屋に荷物を降ろすと、ハビエルが家の案内を始める。よく映画で「感じの良くない」役として出てくるような、アメリカン・マッチョの白人を前にした僕は、不安のために集中して案内を聞くことができない。
案内が終わると、僕はすぐにベッドに行き、何か起きた時にすぐに部屋から逃げられるよう、荷物を綺麗にまとめた。バッグの口にロックをかける。すると
「ここはホテルみたいなもんだから、荷物に鍵なんかかける必要ないぞ。」
その一言が、余計に僕を不安にさせる。
警戒レベルを高めに保ちつつ、シャワーを浴び、ベッドに入る。しばらくするとヴィッキーがやってきた。ヴィッキーはこの部屋のもう1人の家主で、ハビエルの彼女である。
小さい。が、鼻にピアスをしている......アメリカ人、怖い。
「はじめまして、ヴィッキーよ。どこから来たの?あなたは何歳?よく眠ってね。」
「はい......。」
もう夜も遅かったので、気がついたら眠っていた。